神々の戦争もいよいよクライマックスを迎えます。
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│クリスタルオーブの暴走
アルボレアに、しばしの平和が訪れていました。バルダーは、シャラが遺した神器、シャラの光とも呼ばれる「セルリアン・クリスタルオーブ」 (※1)を使って、「炎の日」に大陸が受けたダメージを修復しつつありました。
バルターはシャラ大陸南部の森林を気に入り、しばしば休息をとりに訪れていたので、その場所は「太陽の庭園」と呼ばれました。バルダーはそこに神殿を建てるよう、バラカに依頼しました。大長老の次男、純白の深淵・コンソ(※2)が部族を率いてやってきて神殿を建立しました。そして神殿を管理するため、そのまま太陽の庭園付近に定住しました。一部のバラカはその間にアルン大陸中部に移り、バルデラ(※3)を建設しました。
ある日バルダーのもとをミステルが訪れ、神界の滅亡を予言しました。それを聞いたバルダーは、「セルリアン・クリスタルオーブ」が誤った手の物に落ちるのではないかと心配し、再び封印しようと考えました。
バルダーはロックに、オーブを格納する装置の作成を依頼しました。ロックはキャスタニックにその装置を作らせました。しかし、トゥルサがオーブの存在を耳にし、彼自身の為にそれを欲して、よからぬ計画を立てたのです(※4) 。
◆トゥルサの計画
バルダーが神々のリーダとして活躍するにつれ、バルダーの妻セレンの地位はますます向上していました。それはバルダーの姉イシャラの嫉妬や反感を強めていました。トゥルサはイシャラに近づき、その感情を煽りました。
またトゥルサは、どこかに潜伏していたカーラスを探しあて、エリーヌの死をかえりみなかった神々への復讐を吹き込みました。憎悪に染まったカーラス、嫉妬に狂ったイシャラは、こうして共謀するようになりました。
父であるカーラス、妹であるイシャラからそそのかされ、ロックは次第に悪の気に染まってしまいます(※5) 。 そしてとうとう、ロックはオーブの格納装置を正しく作動しないように作り変えてしまいました。
出来上がった格納装置がいよいよ運びこまれました。トゥルサは格納装置にオーブを盗む仕掛けを施していました。しかし、その思惑は外れます。オーブが格納装置に収められた瞬間、オーブは制御不能となりました。
オーブからのエネルギーが世界を破壊し始めました。バルダーは急いで神々を避難させ、自ら、その命を犠牲にして暴走のエネルギーを抑え込みました。やがて暴走は収まりましたが、残ったエネルギーの余波でアルボレアの大陸は2つに引き裂かれてしまいました(※6) 。
トゥルサはオーブを手に入れられないまま逃走しました。オーブが暴走した原因は装置の細工であったことが発覚し、ロックは反逆と弟殺しなどの罪に問われます。ロックはオーブを盗んで逃走しました。これが「魔神ロック」と呼ばれる所以となります。
◆神界の消滅
この事件を発端に、バルダーの遺志を継ぐ神々と、ロック派の神々とに分かれ、再び戦火が起ります。やがてロックは、トリア周辺の森(※7)に追い込まれ、追撃した野獣神シャカンと相打ちとなって死にました(※8) 。
ロックが倒されたことでようやく戦争は終結します。敗走したロック陣営はアルン大陸中部「暗黒大陸」 (※9)に追いやられました。ところがロックは、シャカンとの戦いの際、その最後の反撃で、神界の扉を閉ざしてしまっていたのです。
このため、神界にいた多くの神々がアルボレアから消滅しました。残ったわずかな神々も、本来の力のほとんどを神界に置いたまま地上で孤立してしまいました。彼らは種族と自らがそれほど違わなくなった事を認識し、種族と共存する道を選びました。
こうして、神の力に頼らない、新しい時代が始まりました。
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│注釈
※1 「セルリアン・クリスタルオーブ」
アルンとシャラが作り神秘の寺院に収められていた神器です。
具体的にどのようなものかは分かっていません。
※2 純白の深淵・コンソ
この人物はアジス研究所の東、断崖の村に存命のNPCです。セルリオンに続いて、存命中のキャラが登場し始めると、いよいよ、お話が近代に入って来た感じがしますねw
※3 バルデラ
このあたりです。
※4 トゥルサの計画
この頃から既に、トゥルサは自分では直接手を下さず、人を使って悪事をなす輩だったんですねー (`ヘ´)
こんな奴が、後にどうやって、アルレマンシアの大魔道師なんかに収まることができたのか・・・不思議です。
※5 そそのかされたロック
カーラスとイシャラは、どうやってロックをそそのかしたんでしょう・・・この辺は史料からは伺い知れません。最も賢い神とその娘ですから、それなりの知略が働いたのか、でもロックだってその血を引いている訳だし・・・ワカリマセン (*´Д`*)
※6 引き裂かれたアルボレア大陸
※7 トリア周辺の森
シャカンはロックと相打ちで死んだ地に祭られています。
※8 シャカンと相打ち
デヴァ族に伝わる「苦難の経典」にはこの顛末が記されています。「邪悪なるシャカンの爪はロックの霊肉を引き裂き…」など、あくまで悪者はシャカンで、ロックは犠牲者という視点で書かれています。同じ経典に、ロック復活の予言や暗黒帝国の栄光なども記されています。
※9 暗黒大陸
「忘却の幽林」あたりと思われます。「敗残兵の宿営地」「敗残兵の墓地」「決戦の跡地」などが地名として残っています。
レベルアップ初期のロック教徒との戦いは、忘却の幽林を舞台に本格化するので、おそらく、このときの敗残陣営の残党がロック教を興したのだと推察されます。
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│歴史解釈
1.ロックは善良な神様?
台湾版TERA神話では、この出来事は、だいぶ異なります。
曰く、装置の暴走は、あくまでトゥルサの悪だくみによるもの。バルダーを殺したわけではないのにロックは自らを責めていた。そこへ荒くれ者のシャカンが殴りこんで来た。取っ組み合いとなり、はずみでシャカンが死んでしまった。悩んだ末、ロックは自らを消し去ったので、世間では相打ちで死んだと思われた…。
このストーリだと、ロックはむちゃくちゃ清廉潔白な神サマ、しかもこれだと完全な犠牲者です。台湾版はこの展開に持ち込むため、前後にわたり他の神の生死や言動まで大幅に変更してます。
・・・なんでそうまでして??
調べてみると、台湾の先住民プユマ族の神話に、勇敢で賢い兄弟が力を合わせて敵と戦う物語があります。その他にも、兄弟が助け合う神話や古代伝説が台湾には多いみたいです。なので、文化/風土として、兄ロックと弟バルダーの兄弟対決が嫌われたのかもしれません。
あ、いやホントただの想像ですけど・・・ (;^ω^A
2.こんなはずでは… がここでも起きてます。
バルダーは、オーブが誤った手の物に落ちないよう格納装置を作ったのに、結果は最悪でした。ロックは、バルダーに協力して、オーブの格納装置を作ったはずなのに、どういうわけか反逆心に染まり、ついにはバルダーを間接的に殺してしまいます。トゥルサはすべての水面下の策略を巡らせた張本人ですが、自身の目的は果たせず、逃走する羽目になります。
もう全然、思い通りになってないのが、TERA神話の特徴ですね。 (;^ω^A
3.神々の消滅
その後の歴史に再登場せず、ゲーム内にも登場しないので消滅してしまったと思われる神々は、以下の通りです。
‐既にいなかった
アルン、シャラ、アマルン、マナアン、イスレン、
エリーヌ、オリン、ギド、シカンダー、ジュラス
‐今回の戦争で死亡または消滅した
アラクネ、イシャラ、イスレン、ウル、カーラス、
グルモ、シャカン、ダコス、ダゴン、ティタス、
バハール、ハラト、、バルダー、ユリアン、ロック
‐地上に残った
ヴェリック、カイア、アカシャ、キリアン、
イカルナ、ザノビア、サレロン、シカンダー、
セレン、トゥルサ、ミステル、ラカン
‐その他地上に残った神族
シャンドラ・マナイア
シカンダーは、消滅または死亡したという積極的理由がないため、幽閉されたまま地上に残ったものと推定しました。
太古神、テラ神あわせて35柱のうち、地上に残ったのは
男神 5 (幽閉状態のサレロン、シカンダーを含む)
女神 7 (キリアンと同体のイカルナを含む)
の12柱です。男神は幽閉されて動けない2柱以外は全員が悪玉、女神は、アカシャとイカルナという例外をのぞけば、その他の5柱全員が善玉という、著しく偏った構成です。きっとゲーム・シナリオを作成する時点で、敵は男神、味方は女神…みたいな偏見めいたバイアスがかかっていたに違いないと推測しますw
(第Ⅵ部おわり)