前回は初期の神と大陸ができるまでを語りました。
今回は、アルンとシャラが眠りについた後の世界を見てみましょう。
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│神々の争い
◆さらなる神々の誕生
眠りについたアルンとシャラの夢から、さらに15柱の神々が生まれました。
彼らを「テラ神」と言います。
オリン、ザノビア、ユリアン、カイア、シャカン、
ヴェリック、ウル、トゥルサ、バハール、セレン、
ラカン、アラクネ、アカシャ、ハラト、ダコス
またカーラスとエリーヌは結ばれて夫婦となり、長男ロックが誕生しました。さらにサレロンとカイアも結ばれて、二柱一躰の神キリアンとイカルナが誕生しました。かくして神々は、太古神13柱、テラ神18柱、合わせて31柱となりました。
◆さらなる種族の誕生
アルン生まれの神々が創造した種族は、既にアルボレアの各地に定住を始めていました。続いて、シャラ生まれの神々も種族を創造しはじめました(※1) 。
シカンダー → シカンダリ
サレロン → プリオン
ダゴン → アガンティ
グルモ → ヴァンピール、グラ
イスレン → 妖精
しかし、これらの神々は石碑(アルカナ・グナイア)の理解が足りず、生まれた種族達は、最初の6種族に比べると「何か」が欠けていました。またイスレンが独自の方法で創造した妖精や精霊も、他の種族とは性質が異なっていました。
これらの新たな種族もアルボレア各地に入植を始めます。この頃から、神々の間で嫉妬や欲から争いが生じ、特にアルン生まれの神とシャラ生まれの神との間が険悪となって、戦争状態に陥ります。
神々は戦争のための兵として、さらに新たな種族を次々と生み出しました(※2) 。イスレンは妖精からコボルトやフカを、ギドは人間からオーカンなどを創造しました。この時、ウルもウェンディゴを創造しました。
どの種族も、最初の6種族に比べて「何か」が欠けていました。
◆神々の集い
ミステルは、種族を巻き込んだ神々の戦争が過熱するのを見かねて、ある日、全ての神を碑石「アルカナ・グナイア」のある場所(※3)に呼び集めました。10年間の集会で、彼らは互いの全知識と経験を碑石に記録しました。この後、神々は互いに親交を持つようになり、種族達は自分たちの創造主以外の神々の存在を知りました。これが種族ごとの信仰が生まれたきっかけです。
この集会を期に神々の争いはいったん沈静化しました。
◆ティタスと巨人族の隆盛
あるとき、イスレンが不審な死を遂げました(※4) 。イスレンと熱愛関係にあったシカンダーは、彼女の死の真相を求めて荒れ狂いました。ティタスはシカンダーを落ち着かせる為、ギドから神の力を吸収できる槍を借りようとしましたが、ギドに拒否されました。
やむなくティタスは人間族にギドの槍を盗み出させ、その槍でシカンダーをアメナ・クアトラの神殿(※5)に封印しました。一方ギドは、槍を盗んだ人間に激怒して、定住地から追放し、アルボレアのどこにも定住できないという呪いをかけました。
これによって人間は約1000年間、アルボレア各地を放浪することになります。
盗んだ槍を返すように迫るギドとティタスは争い、結果的にティタスはギドを槍で殺します。これがきっかけとなって、ティタスが暴走を始めます。
ティタスは、自らが創造した巨人族を大陸の支配者にしようと考えました。巨人族に建築の知識を与え、神聖都市(※6)を築かせました。さらにティタスは、日常生活から知識の伝承まで、巨人族のあらゆる営みに関与しました。巨人族はほどなく他種族を圧倒するようになり、大陸を征服しはじめました。
最初にヴァンピールが征服されました。ヴァンピールの創造主グルモは、やむなくティタスに忠誠を誓いました。
アーマンは、ギドに追い出された人間族の土地を巡り、デヴァと長く争って疲弊していました。そのため、侵略してきた巨人族にあっけなく敗北しました。さらに、その戦闘能力に目を付けられ、巨人族の奴隷にされてしまいました。アーマンの創造主アマルンは、怒ってティタスに詰め寄りましたが、返り討ちにあって殺されました。
ここからすべての神々を巻き込む大きな争いが起りました。
◆エリーヌとカーラス
カーラスとエリーヌが夫婦である関係で、エリーヌの創造したエリーン、ポポリと、カーラスの創造したエルフとの間には親交がありました。3種族は協力して巨人族の侵攻に抵抗しようとしましたが、到底かなうものではありませんでした。エリーヌは、聖なる湖(※7)を神々や他の種族から見えなくして、エリーンとポポリを保護しました。
カーラスははじめ、争いの仲裁に奔走していましたが、一向に収まる気配のない事態を悲観し、また、神々が種族に関与し過ぎることに疑問を持つようになっていました。そこで自ら創造したエルフに生命の花(※8)を与え、魔法の使用法を教えたのち、エルフの元を去ることにしました。エルフは運命を受け入れましたが、自分達の魔法力では巨人族に対抗できないことを悟り、巨人族に服従しました。しかし密かに、魔法を研究する組織「ミステリウム」を創設していました。
◆神聖帝国の誕生
ティタスに殺されたアマルンと親しかった神々、サレロン、カーラス、ジュラスは、ティタスに対抗しました。
一方、トゥルサ、アカシャ、キリアン(イカルナ)、ラカンは、ティタスに臣従しました(※9) 。キリアンとイカルナは、父サレロンと対立する側に付いたのです。グルモに続いてアラクネもティタス側に寝返りました。
結局、サレロンとジュラスはティタスに捕らえられ、他の神々への見せしめとして封印されました(※10) 。ラカンは、創造主ジュラスを失ったデヴァを懐柔し、自分を崇拝するよう仕向けました。その結果、デヴァは帝国の一員となります。
アルン大陸をほぼ制圧した巨人族は、シャラ大陸にむけて進軍を始めました。この時、ティタスは、自身が神々のリーダーであると宣言し、巨人族は自らの帝国を「神聖帝国」と名づけました。
おりしもこの頃、カーラスの妻エリーヌは、ロックの妹イシャラと弟バルダーの双子神を産みます。 ところが、この出産が災いしてエリーヌは死んでしまいます。最愛のエリーヌを失ったカーラスは、他の神々に助けを求めました。しかし、戦いに明け暮れる神々は誰も聞く耳を持ちません。カーラスは強い憎しみと怒りを抱き、神々の前から姿を消してどこかに潜伏しました。
(第三部おわり)
ティタスの侵攻はどこまで続くのか…?
潜伏したカーラスのその後の行方は…?
ますます目が離せない次回に、乞うご期待ww (^^)ノ
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│注釈
※1 新たに創造された種族
上段左から シカンダリ、プリオン、アガンティ
下段左から ヴァンピール、グラ、妖精
※2 兵として、生み出された種族
※3 「アルカナ・グナイア」のある場所
神々の集会が行われ、知識と経験が碑石に記録された場所は「学びの丘」と呼ばれます。
→ 歴史解釈2を参照
学びの丘(久遠の盆地)
※4 イスレンの不審な死
詳細はどの史料にもありませんが、シカンダーの反応から察するに、殺されたのかもしれません。
※5 アメナ・クアトラの神殿
ずばり<まんま>の名前で現在ものこっています。
シカンダーの神殿
※6 巨人族の神聖都市
巨人族は、アルン大陸の南から進軍を開始しています。現在その位置にある遺跡といえば「巨人の廃都」なので、おそらくそこが、元の神聖都市だと思われます。
※7 聖なる湖
現在の「月の湖」です。
※8 生命の花
※9 ティタス勢とアマルン勢との対立構造
※10 サレロンとジュラスが封印された
サレロンは「反逆者の岩窟」(ニューエレノン南)」に、ジュラスは「封印の谷」(ニューエレノン東)に、それぞれ封印されました。ジュラスは後に、バルダーによって解放されます。
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│歴史解釈
1.エリーヌの生死
この時期の記述で、史料間に最も大きな乖離があるのは、エリーヌの生死と、それにともなうカーラスの行動です。
日本版のゲームでは、エリーヌは戦争の早い時期に死んだことになっています。しかし台湾版では、エリーヌは延々と生き続け、バルダーとともに神々の戦いを終結させる活躍をします。おそらく、「エリーヌは死んだ」とするのが、オリジナルに忠実で、かつ日本版ゲームにも整合するスタンスでしょう。実はそうでないと、「魔神ロック」にいたるその後の大きな流れが説明つかなくなるのです。
なんらかの理由で、台湾版はエリーヌを存続させ、そのために、後の歴史のあちこちをかなり強引に変更したようです。結果、カーラスの行動には全く説明が与えられず、他の神々の行動や動機などにも不自然な点が散見されるようになっています。
2.「アルカナ・グナイア」のある場所
神々の集会が行われ、知識と経験が碑石に記録された場所は「学びの丘」と呼ばれます。史料によって、そこは現在の「久遠の盆地」を示していたり (実際、久遠の盆地には、無数の碑石が点在しています)、アルカナ・グナイアはその時<初めて>作られたとされていたり、集会ではなく宴会だったとか、細かな部分で諸説入り混じって、かなり混乱しています。
しかし現在、イルカの神殿でハッキリとアルカラ・グナイアの存在が確認されていますから、おそらく、レベルキャップ解放のためにLv60-65のストーリ・シナリオを作る際、後付けで、神話が修正されたのだろうと予想します。
3.こんなはずでは…の展開
ティタスは、シカンダーを鎮めるため、良かれと思って「ギドの槍」を借り行きます。ところが、ギドに拒否され、そこからすべてが狂い始めます。この後の歴史においても、当初の思惑と全くかけ離れた結果をまねく事件が少なくありません。TERA神話は、単に嫉妬や欲だけで動いている訳ではなく、神や種族の、なかなか思い通りにならない困惑と迷走の歴史でもあるようです。